女性の卵巣年齢を知るAMH
(抗ミュラー管ホルモン)
AMH(アンチミューラリアンホルモン)とは、発育過程にある卵胞から分泌されるホルモンであり、原始卵胞から発育する前胞状卵胞数を反映しているため、卵巣の中にどの程度の数の卵子が残っているのかを推測することができます。
つまり、AMH値が⾼いと今後育つ卵胞が卵巣内にまだ沢山あり、低いと卵胞が少なくなってきているということが分かるため、血液中に存在するAMHを測定すれば、卵巣予備能(卵巣内に残っている卵子の数)を知るのに役立ちます。
原始卵胞は胎児の時期に卵巣内で一生分つくられ、誕生時に約200万個ある原始卵胞は、思春期以降になると30~50万個に減少し、その後も新たに卵胞は作られること無く減少していき閉経を迎えます。
AMH値が低いと
妊娠しづらいのでは?
AMHは卵子の数を知るための指標であり、妊娠できるかどうかに直接の関係はありません。
妊娠にとって重要なのは卵子の質です。高齢になるほど卵子の質は低下していくため、妊娠は難しくなります。
ただし、AMH値が低いということは、卵巣に残っている卵子の数が少ないと推定されますので、早めの不妊治療をお勧めします。
AMHと治療方針
- 年齢が高くAMH値が低い場合 年齢とともに自然排卵が起こりにくくなり、排卵誘発剤に対する反応も弱まっていくため、軽い排卵誘発やホルモン補充療法、自然周期での排卵を期待します。
年齢とともに不妊治療の成功率が低下していくため、治療を急ぐ必要があります。- 年齢が20代なのにAMH値が2.0ng/ml以下の場合 早発閉経といい、卵巣機能が実年齢以上に衰えていて、最悪の場合は20~30代でも閉経が起こってしまう事があるため、早期に不妊治療を開始して、治療のステップアップも早めに検討していく必要があります。
- 年齢が若くAMH値がかなり高い場合 月経異常や不妊の原因となる多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)が疑われます。
一般不妊治療では多胎妊娠の可能性が高まりますが、体外受精では、排卵誘発剤を使用して得られた受精卵を凍結することによって、胚移植の際には1個の受精卵を体内に戻すことで多胎妊娠を避けることができます。
ただし、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)といって、卵胞が排卵誘発剤に過剰に反応した際には、卵巣が腫れやすくなるため注意が必要です。
年齢やAMH値の相関次第で、不妊治療の方法や、治療に費やせる時間が大きく変わってくるのです。
※注意:AMH検査は卵巣予備能力の目安となりますが、妊娠を保証するものではありません